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Boeing 737-800に乗りたいP訓練生のブログ

現在ニュージーランドでパイロットの訓練をする若者のブログ

ファーストソロ

ファーストソロに出た話です。振り返りとかね。

 今日は教官チェンジでした。

教官から朝連絡がきて、「ごめん風邪っぽいし明日メディカルなんで休むね」

 

 

はぁ。

いつもの教官と飛ぶと、なんちゅーかピリピリしててやらなきゃいけないことで頭いっぱいで、リラックスとは程遠いフライトが続いていただけに、解放される喜び、というよりも、「なんか張り合いがないフライトか」と思う日々です。

 

NZにはA,B, Cとインストラクターがおり、Cは若手。BからAになるにつれて、経験も飛行時間も立場的にも(恐らく)上になっていく。AかBにしかできないことっていうのも多い。ファーストフライトの許可とか。クロスカントリーの許可とか。

 

今日のインストラクターは誰だーと思い、今まで見たことのなかった教官がきたので、「この人か!?」と思った。が違った。彼はBインストラクターだったが、彼じゃないと。もしかしてここで、Cカテゴリーのインストラクターが来ると、今日はファースト(ソロ)じゃないな、と分かるので一安心なので良かったのだが。それまでタジタジしながら準備を進めていた。

 

来たのは一度座学も受けたことある教官で、Bカテゴリー教官。

「うわぁ、でたよ。Bカテゴリー」と内心思う。彼にいけと言われたら戦地に突っ込む勢いでファーストをやらなければいけない。頼む、今日じゃない。今日じゃないんだ!と思いながら、一緒に飛ぶ。

 

またイレギュラーを(あえて)起こし、日本人の同期1人と似たような時間帯―朝早くからお昼前まで―で同じ機体で飛んでいる。オフィシャルの訓練時間としては自分が8:00から、彼が10:00から。彼は常に2番手だった。行きの車のなかで「前回天気で飛べなかったから今日はいけそうな朝飛ぶ?」と聞いてみた。すると、「やる」というので、順番を交代した。

 

朝はとてもスムーズな天気の感じで揺れもそこまでなく、良い感じだったと聞いた。初めて2番手を経験した自分。彼が帰ってくるまでそわそわしながら待つ。2番手は朝にたっぷりが時間がある割に、昨日の復習をしたりするので精一杯。かつ無線も聞きながら彼の帰りを待つ。

 

彼が帰った来たら、給油の必要の有無、重さ、航行可能な時間を計算なんやかんや...ペーパーワークを済ませ、”赤紙”を書く。赤というかピンクなんだけど。こいつは、PPLのソロの許可証で、インストラクター(AかBカテゴリーの)のサインがあって、初めて有効になる。そいつにサインしてもらう。が、当然、その紙だけではソロに行くことはできず、実際に口頭で、じゃあお前いけという風に言われる。あの紙を書くたびに、「今日か...今日か...」と思う日々があった。

 

インストラクターの部屋で何か他のインストラクターと話している教官。先にいって準備してていい?と聞く。いけいけと言われるので飛行機に向かう。過去に犯した人がいるという燃料キャップの閉め忘れは十分に確認する。シートピッチを昨日のように、少し広めに調節する。イヤフォンジャック、マイクジャックにピンを差し込み、飛行時間や機体の欠陥等々を書類で今一度確認する。鍵を用意し、エンジンを回すための準備(プロシージャ)を進める。

 

トリムを確認しているあたりで教官が乗ってきた。いつものようなプレッシャーは感じなかった。いつもの教官ならこのあたりでちょっとプレッシャーを感じる。恐れ多い。

 

あとはいつも通り、プロシージャを進め、いざ飛べるぞ。という所まできて、強い北風を受けて飛び立つ。いつもと感触の違うASIやVS...なかなか上がらない機体...。向かい風ビュンビュン、超タービュレントで登っていくっていう光景もあまり見たことがなかった。が普通に計器をいつも通りに合わせ飛ぶ。当然、「まだ」教官が乗っているので、こいつがどんだけ飛べるのかというのを見るためか普通のサーキットをこなしていく。反省もいくつかある。いつもの教官なら怒鳴りつけられただろうに、今日の教官はkiwiだからか、あまり激しくは言わない。というか全然言わない。

 

一度完全停止したあとに、こういうところ気をつけようねと簡単な指摘を受ける。おっしゃる通りと思って聞きました。

 

その後は何度か同じようにサーキットをこなし、離陸後に突然エンジンを切られたり、うわーーフラップが動かないーーとか騒ぎ始めてフラップレスランディング(というある種のプロシージャなんだけど)をやったり、ダウンウィンドで突然エンジンを来られたり、エマージェンシーをこなしていく。

 

あるエマージェンシープロシージャが終わったあとに、ホールディングポイントに行って、と言われたのでいつも通り行くと、行った先で、今日の全体を振り返ってどうだった?と聞かれ、点数をつけるなら50点だと答えた。何が悪かった?と聞かれ、高さとスピードコントロール、スペースィングが出来てなかったからもっと向上させたい。と答えた。すると教官が、今日ファーストに出ようと思えば出られるけどどうする?自信は?と聞いてきた。多分拒否することもできた雰囲気だ。が、しかし。

 

プレッシャーに負けてしまった。笑

 

いい加減、この「今日いくかもね」→いきませんでしたー。「今日もしかするとー?」→いきませんでしたー。というサイクルに嫌気がさしてきた。個人的に「いくかも?いくかも?」と覚悟を決めて毎回のフライトに挑むことが本当に負担に思ってて、とうとう「行きたい」と言ってしまった。

 

まぁ、経験豊富な教官がそうやって判断するならいけるってことでしょう。ということで。ね。

 

しきりに、現在ダウンウィンドを飛んでいる別の飛行機、降りてきてタッチダウンするすぐの飛行機に風の情報を聞いたり、ATISを聞いて上空の風を確かめる。「この風なら、さっきとそんなに変わらないコンディションだし、今降りてきたセスナも安定しているからいけるね」「そいじゃーね。俺ここで降りるから」とホールディングポイントで降りる教官。

 

ちなみに風はかなりノース寄り、おそらく20ktはあったんじゃないかと思う風。部分的にはもっとgustyだったかもしれない。

 

彼は二つだけ言い残した。

「ダメだと思ったら即効ゴーアラウンドしろ」

「ちゃんと俺が降りたあとハッチ(扉の鍵のようなもの)閉めろよ」

「じゃあな、あとで」

 

彼は降りるとき、親指を立ててこっちに笑顔で振り向き、翼の根本に足をつけ、降りていった。飛行機から離れた。今目の前でウォーリアが飛んでいった。そいつを見る。ライト類がついているかみる。トランスポンダを確認する。そして、無線でコールをかける。

 

「**トラフィック、***、LINE UP RWY 04 AND ROLLING.」

 

この瞬間かなぁ。ああ、いよいよ一人で飛ぶんだって思ったのは。

そして離陸中に中止するという選択肢を想像する。フルパワーにする。不安になって必要なスイッチ類がしっかりついているかどうかを確認する。ASIがアクティブであること。エンジン類がしっかり作動していること。ローテイトスピードになっていることをコールアウトする。引きすぎないように操縦桿を引く。速度があがらん。きっと向かい風のせいだと。

 

この瞬間にエンジンが停まったら考えなくても手がでるように想像する。

 

600ftでフラップをしまう。いつものように行きたい場所を眺め、この辺で曲がると良いかと考える。この間も上昇している。

 

1100ftでレベルオフする。少し高くなってしまった。1150ftくらいはあったとおもう。焦らずプロシージャーをダウンウィンドでこなす。そして目の前に迫る制限エリア。早めに、そして"侵入"しないように、降下態勢をつくり、降下を開始する。今までの厳しい教官に言われたように、もっとスキャンを早くしろとか、計器ばっかりみんなとか、heightを意識しろとか、そういう言葉が脳裏をよぎる。ああ、自分もっと頑張んなきゃ。と思ったし、それをやっている最中も、その言葉でてきて、できるように頑張ろうとしている自分がいた。

 

いよいよ滑走路の延長線上。多分オーバーシュートして、ちょっとセンターライン上に飛行機を持ってくる手間があったように思う。強い向かい風をうけ、降下は困難だし、高度は減らんし、ASは高く表示されるし。今までないよこんなん。(笑)と思い早めにフラップを全開にして、エンジンをクローズして、ディセンドを作っていく。

 

いつもの厳しい教官の声で、「高いと思いませんか」とか、「too shallowですよね」とか言われている気がして、もっと精進せなと思った。とても。笑

 

我ながら、進入しているときの"ドリフト"はよく出来ていたと思う。これを滑走路に接地する瞬間にラダー踏まな。という考えが頭をめぐる。

 

立っている教官が見える。

 

滑走路端を通過する。

地面が近づいてきて、徐々にフレア。ちょっと足らんかったかな。

 

そして、微妙に煽られ左に頭を向ける飛行機。右ラダーで固定するもちょっと流され、すぐに接地。センターからは少々ずれていた。動画を撮ってくれていて、あとで見るとまぁ無様です。(笑)

 

そして滑走路から抜け、教官のもとに「飛行機で」戻ると、おめでとう!やったな!ちょっと頭フレたけど、許容範囲でしょ!おめでとう!やったよ!とお祝いをしてくれた。クラブハウスに戻ると無線をきいていた他の教官達もお祝いの言葉をかけてくれた。

 

今日の教官の顔を観た瞬間、おもわず感謝の気持ちと、喜びがたまらなく溢れてきた。でも育ててくれたのはいつもの厳しい教官なんだよな。あの厳しさがあって、ややツライ思いをして、自分はこのレベルに居るんだと思うと、あの厳しさの意味が分かる気がしてきた。甘やかされて育てられていたらこうはならなかったかもしれない。

 

 

一番今日感じたのは、本当にきれいごとではなく、この飛行機を落としたらそれは自分の責任やな。まぁ飛行機を壊すくらいならまだしも、それで自分の命が失われたり、今まではかろうじて教官がカバーしてくれたかもしれないものを、自分ひとりで全部対処せないかんのだな。と思ったことがいっちばーーーーーーーーーーーーん大きかったです。端的にいうと、「責任」の重さを非常に痛感しました。だからこそ、ファーストの前はエマージェンシーばっかりやるのだな、と。これができない限りはファーストはありえないのだな、という意味も良くわかった。

 

肩章ももらった。初めてファースト出たねおめでとう、っていうやつです。

この物理的なモノ自体は大したアレじゃないけど、そこにある「意味」っていうのはとても大きいなぁ、と。パイロットがいる意味は、安全の死守そのものやなぁ、と。

 

事務方のおにーさんに「おめぇもパイロットやな」って言われて「まだだよPPLライセンスないし」というと「何言ってんじゃぁ PICとったらそれはお前、パイロットだよ」と。ああ確かに、今日のログブック。短いながらにPICタイム入った。

 

 

飛べるだけの人間はいらねーっちゅうことですね。

道のり自体は真摯に取り組んだつもりですが、まだまだ精進できりゃと思います。

 

長文にて失礼しやした。

 

 

おわり。