Boeing 737-800に乗りたいP訓練生のブログ

現在ニュージーランドでパイロットの訓練をする若者のブログ

TEM失敗。

TEMというと、Threat and Error Managament という言葉の略なのですが、こいつのmanagementに失敗しましたという簡単なお話。

 前も書いたかもしれない、このTEM

 

おおよそパイロットが飛行機に乗っている理由のキモである。

日本語にすると、「脅威とエラーのマネジメント」(ほぼ英語。)になるのだろうか。そもそも「スレット」(脅威)ってなんやねん、という話し。

 

例えば。日本の空をたくさんの飛行機が飛ぶ。ということもスレット。

何故か、というと、たくさんの飛行機が飛べば、たくさんのエラーが起こりうる。その予測できなかったり、エラーが起こったり、無線の通信に失敗したり、色んなことが発生しうる。その危険(な状態)をthreat というはず。

 

たぶんこういう別枠の授業がエアラインではあるのだと思うけれども、今のジェネアビのレベルだとまぁこういうことしか見当がつかないけれども、エアラインでも少なからずこういうことはあるという話を聞きました。

 

ちなみに、普段乗客として意識することは無いけれども、「燃料」というのもスレットです。誰かが燃料を飛行機に入れてそのエネルギーを基に飛行機は飛ぶんだけれども、そいつが切れると当然飛行機は滑空するしかなくなる。当たり前の話だけど、止まれない空の上では、燃料切れっていうのはかなりシビアな問題。ばっかじゃねーの、当たり前じゃねえの、と思うかもしれないけれども、これで死亡事故が過去に起こって人が死んでいるのでバカにはできないのです。

 

エアラインの戦士たちは、より飛行機を軽くしたい。だから燃料を削りたい。だけれども、最低必要な燃料と、どのくらい予備があれば足りるのか。不測の事態に備えられるのかを考えています。英語での「What if...?」です。

 

関西空港から那覇空港まで飛びたい。飛行時間は2時間だ。

そこで2時間分の燃料を給油しましたが...

もし、向かい風が予想より20kt強くて、飛行時間が2時間10分になったら?

オ●プレイが緊急着陸して嘉手納に向かわないといけなくなったら?

予想もつかなかったCbが発達して、沖縄本島はもはやどこも降りられない状況になったら?

 

あるだけthreatを計算尽くしても、当然誰も未来のことなどわからないので、その時になって初めて、そのTEMが正しかったのかどうか、次同じシチュエーションだったときはどうするか?をパイロットとしては考えなければいけません。

 

時として、この判断はおそらく乗客の怒りを買うかもしれません。燃料の都合で、やっぱ奄美に寄っていくわ。とアナウンスを入れると、「到着時間が遅くなったじゃねーか!」と指摘される。

 

また、実際は到着できたにせよ、到着がかなり難しい気象条件でその空港へ向かわなければいけない。予想では達成確率は15%...行くか?よし、やめよう。その方が、ホールディングして"到着できませんでしたので引き返します"とアナウンスを入れるよりは健全だろう。「なんで行かねーんだ!」と怒りを買うかもしれません。

 

そこで、知識と経験、そしてコミュニケーションで培ったTEに対するM、Managementが必要になってきて、それはかなりの部分でパイロットの「腕」として出てくる場所だなぁ、と思うのです。

 

台風接近時に、その空港に向かう飛行機もあり、向かわない飛行機もある。同じ場所でホールディングしている飛行機もあれば、帰って行く飛行機もある。降りられる飛行機もあれば、降りられない飛行機もある。

当然エアラインは会社が飛行機を動かしていて、機長や副操縦士はそれを操っているだけですが、一度陸を離れてしまえば、あとの判断は彼らに任されたも同然です。先に述べたように、燃料の都合、技量の問題、達成確率、会社の意向なんかでそれらは変わってくるので、会社やパイロットたちが「何を取りたいか」で変わってくる部分です。

 

難しい部分なのですが。

 

さてタイトルにある「TEM失敗」なのですが、私はこのError Managementに失敗しました。

 

1つは、先日NOTAMに何も出ていなかった空港(およそ130nmくらい離れていただろうか...)に飛んだ際に、まさかの給油が出来なかった問題がありました。もう少し確認をしていたら分かっていたことかもしれませんが、過去にそういったことをしたことはなかったので、かなり困惑しました。幸いにも、燃料は左右の翼でそれぞれ85分程度あったので、60分の飛行で事なきを得たのですが、もしエアラインだったら、あれはヒンシュクモノだったかもしれません。今後どうしたら良いかを考えることができる良い材料になりそうです。

 

2つ目は、本日、休日で飛ぶことができる日だったので、飛行機を予約してクロスカントリーをするぞ!と思っていた矢先、朝からグズグズと天気が悪く、BKN 4000ftくらい。fewが2300ftくらい。と雲がずーっと張っていて、行きたいところに行ける雰囲気ではなかったし、TAFで出発地の空港でまさかのBKN004 vis 0500 (BKNの雲、400ft...ってタワーをかすめるくらいの雲ですぞ! + 視程が500m)可能性40%と出ていて、もしこれが現実になっていたら、自分は帰れねぇぞ。と思った結果の判断でした。

 

自分が出発していたら到着時刻になっていたであろう今頃の天気を見てみるとピーカン。アレ。TAFどころか自分の予想も外れている、と思い、予想したものと現実が大きくかけ離れていて、TEMに失敗しました。もしお客サンを運ぶフライトだったら「何で行かなかったんだよ!」と責められたことでしょう。

 

...もう少し天気を見る目とか、出発して戻れなかったときのことを考えた上で出発する必要があったかもしれません。うーん。無念。パイロットとしてまだまだみたいです。

 

おわり。