空をとびたいP訓練生のブログ

現在ニュージーランドでパイロットの訓練をする若者のブログ

寿司にぎってます

パイロット訓練生なんて結局寿司握ってるだけ。いや、違うか..って話。

 まあタイトルについてはあとで書くので気にしないでください。

海外生活もう1年半を過ぎて絶賛日本語力が低下している私ですが、日本語力がAvgasになっているかのようにAviationに対するバイタリティは半端じゃなくあります。

 

で、なんだっけ。

近況報告。そう、それ。

近況としては、もうめちゃくちゃです。朝いちばん!で BKN010のところをVFRたちが「飛べねーいつ晴れんのこれ」と言っている最中、せわしなく準備して離陸!そして雲の中を抜けて晴天の中クルーズ。みたいな「ザ・IFR」って感じで修行してます。そしてフライトの終わりはMDAと戦っています。

 

基本IFRはペア制らしく、同期が1人私のペアとなっているのですが、彼が行き帰りどちらかを担当し、私も同じように...という感じです。各レグ、2時間満たないくらいのまぁまぁ長いフライトです。今まで聞くことなかった無線のやり取り、レーダーでベクターされる感じとかもう、「ザ・IFR」(二回目)って感じです。ていうかエアラインみたいです。

そんで、準備して飛び立ってどこかに着いて、そしたら引き返す準備をすぐしながら飛んで本拠地に帰り、そこから休憩を取ってお昼ごはんを食べて、マルチエンジンに乗りながら新しいプロシージャと戦ってるみたいな状況です。そんなこんな、新しいことがたて続いておりまして、ブログの更新が月3とかになってしまっています。いやぁ、こんなこと(同時にシングルとマルチの2つのプロシージャやりながらばんばんエンジン切られ、新しいスピードも覚えながら、と同時に古い乗ったことのある飛行機も乗る的な...)40歳とかになってできねぇよ。って。飛行機もバラバラだし体力的にはまぁまぁキツイし、新しいプロシージャはわんさか入ってくるし。んな感じで「てんやわんや」って感じですが、新しいことっていうのはやっぱり輝いてますね。面白さの連続です。

 

そういった意味でキツイと思うけれど、ミスパイロットで「IFRは死者続出だ」的なセリフあったけれども、あれもたぶん実際の取材にもとづいているのだろう。が、何故IFRで脱落者がたくさん出るのかなぁ。うーん。別に「めちゃくちゃ難しすぎて今すぐおうち帰りたいっす!」的なことはまったくない。全く。普通に時間使って普通にやってたら普通に出来るよ。いや、この「普通」ってのが常軌を逸しているのかもしれないけど。ていうかそんな難しかったら普通にレーティングとして存在しねえよ。って思ってしまう。たかだか誰でも乗れる飛行機のたった1つのレーティングでしかないのに。もう一度ミスパイロット見てみようかな...。

 

この業界なのかそれともうちの学校だけなのかは分からないけれども、やっぱり「話を盛る」人が世の中多いなぁ。「IFRめっちゃキツイっす!」とか「難しいっす!」なんて言うけれども、やってみりゃぁ、ねぇ。エマージェンシーはちょっと分からぬが。私が出た大学の先輩でアメリカの方でB767を飛ばしている方がいらっしゃるのですが、彼は普通に、謙虚に、「パイロットになりたければ、普通に努力して、普通に遅れず、やることさえやってればなれます」だそうなので、あえて「難しさ」とか「労力」とか「壁の大きさ」とか強調する人たちのことをあまり理解できない。彼も少し西洋化しているのかは分からないけれど、自分も彼のように「めっちゃ大変です」って大変さばかりを強調するのはいかがなものかと思う。いや、うん。今までもそうだったけれど、普通のことを普通にやってたら大丈夫だよ。

 

とはいえミスパイロットは舞台が自社養成だし、彼らが求められることはたった1度のフェイルも許されず..という世界だそうなので、まぁ次元は違うのでしょう。

 

 

はて。タイトルに戻りましょう。

寿司。あのシャリにマグロとかが乗ってるやつ。

あれってめちゃくちゃ美味しいじゃないですか。まぁでもクオリティが求められるものでもある。ネタの鮮度とか産地とか、時期とか、美味しい部分とか、わからんけど。米もそうだろうな。んで、それらが合わさって「んめぇ寿司」ってのが出来ると思っております。

 

でね。

もし、例えば、板前の板倉さん(知らんけど)が、'完成見本'を握ることができるのだとしたら、私達見習い板前は、その板倉さんがつくる'完成見本'に沿わないといけない。あれが目指すべきものだ、と。

 

そうすると、じゃあ何で板倉さんの作る寿司ってんめぇんだろ?って考えなくちゃいけない。なんであんなに芸術品といわんばかりの輝きを放っているのだろう?なぜだ?と考えなくちゃいけない。ぜーんぶ。それらは、一つ一つ、勉強から始まる。なんの米使ってんだ。どうやって仕込んでるんだ。どうやって炊いてるんだ。はては衛生面まで。どうやってまな板管理してんだ。どうやって切る包丁分けてんだ。って。ぜーんぶ知らなきゃいけない。

 

たまに切る魚はマグロじゃなくてフグかもしれない。テトロドトキシンという猛毒が含まれててそいつを誤って提供してしまうとたまに人が死んでしまうほど。じゃあ、そいつを食べたいけど安全に食べさすにはどーさばいて、何が危険で、何が安全なのか知らなきゃいけねえ。

 

いずれ、全てを知って、ある段階になったら、ようやく'板前'を名乗ることができるんだろう。ただその美味しさっていうのは追求し続けなきゃいけない。

 

まぁ、訓練生ってようはそういう生き物ですよっていう紹介でした。何が言いたいかというと、学ぶべきことは山ほどあるのも1つ、何かを追求し続けなければいけないっていうのも1つ、何か磨くべきもの、考えるべきことを見つけていかなければいけないのも1つ、誰か先達がいるっていうのも1つ、すーべーてー共通するところであります。

 

それで1つの分野が成り立ってしまうくらいに奥深く、興味深いのがパイロットって生き物に関わらず、航空、特に'飛ばす'ってことなんだろうなぁとしみじみ思うのです。どうやって飛行機はターンするんだろう。ターンしたら飛行機はどうなる傾向にあるのだろう。それを知ったら、じゃあ人を乗せたときにどういうターンが求められるんだろう。どうしたら安全なんだろう。

 

目で、地上の目標物を見て飛ばせるようになった。遠くに行けるようになった。じゃあ何が危なくなってくるのか、ってまたそこで考えなくちゃいけない。それがある程度できるようになったら、前を見なくても飛ばせるようにならなくちゃいけない。じゃあそこでは何が使えるのだろう。何が危ないのだろう。と考えなくちゃいけない。どういうシステムになっているのだろう。どういう状況だと使えないのだろう。と思考しなくてはいけない。

 

これって、自分を客観視したことないから分からないけれども、言ってみれば、すげー地道だと思うし、面倒臭いし、精神も持っていかれるかもしれない。だけど、結局パイロットのあるべき姿ってそこに尽きる。ある程度のパフォーマンスを出しながら、安全性を最優先にしつつ、色んなことを知って、色んなマネジメントを知って、1つ1つ、積み重ねていかないと行けない。

 

その先に何が待っているか?って言うと、まぁお金かもしれない。けどお金なんてパイロット以上に稼ぐ手段はいくらでもあって、別にパイロットなんて仕事にこだわらなくても良いかもしれない。新しいワクワクかもしれない。最新鋭の飛行機に乗る!とか、新しいシステムを使ってみる、とか、まぁ、考えりゃいくらでもあるけどなんだろう。

 

自分としては、常に新しいことに挑戦するとか、新しいことができるとか、知らない世界を学ぶことに多大な喜びを感じる人間だから、何かが待っているというよりも、何か行動すりゃそれが幸せ、ハッピー、だから、少し何か具体的な目標を持って「パイロットやりたいっす」って人間の参考にはならないかもしれない。だから研究職とか職人職が向いているような人がもしかすると、この仕事、については知らんけれども、訓練に関しては向いているかもしれない。自分は夢として、特別なこだわりを持って訓練生やってるわけじゃないし、ある機種に乗りたいという野望も無い。じゃあなんでブログの名前B737なんだよって。乗れりゃいいなーであって、別に乗らなきゃ死んじゃうとかそういうレベルの話ではない。あ、でもできれば短距離がいいなぁとか、長距離国際線は嫌だなぁ、とか、カーゴは嫌だなぁ、とかそういうのはあります。(笑)

 

まぁ長くなったんでそろそろ書き終わりにしたいんだけれども、最後に一つ。

もしこれを見ている訓練やりたいっす、ってさまよっている人がいたら、もう少し、訓練生の実態を把握してから訓練を始めることをオススメします。人によってはめちゃくちゃ辛いかもしれないし、人によってはめっちゃeasyかもしれない。でもそこではどんな能力が必要とされていて、どんな資格が現実的に必要で、これがないと困るっていうものもいくつかあったりします。なのでそういったものを把握してから、もしくは迷っている訓練校なんかあるのであれば、そういった所に人に相談してから決断しても遅くはないと思います。始めないと分からんってこともいくつもありますが、ただ、始める前に分かることもあります。なので、調べるだけではなく色々なことを把握し、理解して、自分に合ってるのかどうかをよ〜〜〜〜〜く考えたほうが良いかもしれません。先にいた教官が「訓練で挫折する人が何人もいたので、何が自分のモチベーションなのかよく考えてください」って入る前だかなんだかにアドバイスを受けたことがあったのですが、自分はそれは当てはまりませんでしたが。過去に訓練を終えた人たちに「どうでしたか終えてみて」って聞くと、「苦労8割でした」とか、冗談なのかなんなのか分かりませんがそんな感じで言っていく人もいるので...まぁそういうことなのでしょう。

 

まぁ寿司です。寿司。

 

おわり。