空をとびたいP訓練生のブログ

現在ニュージーランドでパイロットの訓練をする若者のブログ

スピード超過してフラップ

しばらく前に授業で話にあがっていた「フラップのリミテーションを超えてフラップを下げてしまった場合、どうなるでしょう?」というヤツの解説。

 

まぁ、結論から言えば極端に高速ではない限り、多分壊れないでしょう。なぜかというと、本当に構造破壊になるギリギリのところでOKサインは出した上で飛行機が運航されているわけではないから。恐らく安全率とか、バッファーとかそういう言葉で表現される安全上の余裕をもたせて作ってあるので壊れません。90KTがリミテーションであるものを、100ktで下げたからといって、ね。

 

ただ、法律的にはアカンのです。

どうアカンかと言うと、飛べません。何故かというと、これは航空法第73条の2で規定されている「機長の出発前の確認」という項目において、「航空機が航行に支障がないこと」を確認しなければいけないからです。で、あるべきものがないとか、されているべきことがされていないとかなると、ダメなのです。

 

確認事項についてはまたいずれ書く余裕があれば書きますが、この確認事項の1つとして「耐空証明書」が航空機に備え付けられていることとその有効性を確認しなければいけません。

 

ちなみに、この耐空証明書というのは航空法第10条の4項にて基準適合と認められていれば、耐空証明をしなければいけないと書かれております。(証明書は7項にて「交付する」と書かれており、これがいわゆる耐空証明書になるわけです。)

 

また、耐空性を証明する場面の1つとして、「運用限界」というものを指定する航空法第10条第3項に書かれているわけです。

 

運用限界とはなんぞや?

これに関しては、航空法施行規則の第13条に、「前条の内容を記した書類(運用限界等指定書と言う)」と書かれております。

 

「前条」つまり施行規則第12条の3項に、第5条の4第2号にかかれている内容が、限界事項である、と書かれています。

 

で、第5条の4項、2号とは何か?と言うと、

飛行規程」つまりフライトマニュアルに相当するものの限界事項と書かれています。

 

 

なんだか繋がってきました。

 

つまり、

 

フライトマニュアルの「限界事項」を記された書類のことを「運用限界等指定書」というのです。また、書類はどうあれ、この「運用限界」つまり、飛行規程の(通常2章にありますが)リミテーションに関して、こいつを指定することが、「耐空証明をされる」ことの一部なのです。(勿論これだけではなく、製造過程もチェックされなければいけません)

 

で、戻りましょう。

「耐空証明をされた」ということは、耐空性があるということです。

つまり、健全なフライトが常に行われていることが想定されているわけです。だから、限界事項が定められています。

 

じゃあ、90KTのリミテーションのところ、100KTでフラップを下げてしまったら、それは2章のVfeに書かれているスピードの超過なので、耐空性を犯していると表現できそうです。

 

そうなったら?

という話が、航空法第14条の2に書かれておりまして、

平たくいうと、「耐空証明されており、有効期限があったとしても、耐空性検査の基準を満たさない、もしくは満たせないだろうと思われる場合に関しては、期間内であっても、必要な整備、改造もしくはその他必要な処置を命じることができる/耐空証明の一時的な失効させることができる」と書かれています。

 

まさしくこの通りで、恐らくですが

V feというリミテーションが書かれていながら、それを超過して運用した場合、必要な措置、検査、改造、整備などをすることによって、耐空性を回復するか、もしくは「耐空性ないから飛べません」とただのガラクタになるかの2つです。

 

 

答えがあるわけではないので、何となくですが、結果として、法律的要件としては、

 

1、飛べなくなる

2、耐空性を取り戻すために改造または整備をする

 

の2択があるように思います。

 

 

おわり。